2001年に施行されたマンションの管理適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化)において、マンションを取り巻く関係者(区分所有者、管理組合、マンション管理業者や行政組織など)の役割が明確に規定されることになりました。この法律は、それまで具体的な定めのなかった分譲マンションの管理のあるべき姿について規定した初めての法律と言え、増加の一途をたどるマンションという建物を社会における重要なストックとして、適正にこれを管理していくことの重要性が今後さらに増大するという見通しに基づいて作られた法律です。その中にはマンション管理組合が管理業者を安心して利用できるように「マンション管理業者の義務に関して業務規制」が設けられています。なお、マンション管理適正化法では、マンション管理士や管理業務主任者など、マンションに関する国家資格についても規定が設けられています。

【マンション管理適性化法】第1章[総則]第1条(目的)
この法律は、土地利用の高度化の進展その他国民の住生活を取り巻く環境の変化に伴い、多数の区分所有者が居住するマンションの重要性が増大していることにかんがみ、マンション管理士の資格を定め、マンション管理業者の登録制度を実施する等マンションの管理の適正化を推進するための措置を講ずることにより、マンションにおける良好な居住環境の確保を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

マンション管理の主体は管理組合と区分所有者

この法律は、マンションの関係者にとってとても重要な法律であり、いくつかの特徴がありますが、その中でも、分譲マンションにおける管理組合や各区分所有者は、各自の所有するマンションを適正に管理するように努めなければならないと法律で明確に定めたことは、この法律の最大の特徴と言えるでしょう(法4条)。

マンションの管理・運営の責任は、一義的には、管理会社などの業者ではなく、管理組合やその構成員である区分所有者にあるとされ、その上で、マンションを適正に管理していくために、マンション管理士などの専門家を活用したり、管理業者の登録制度を設けるなどして、適正にマンションを管理・運営するためのサポート体制をいかに構築するかという流れで法律は進んでいきます。

マンション管理業者の登録制度

マンションは、平成25年末現在、約601万戸が供給されており、日本人の約1割がマンションで生活を営んでいることになります。

この割合は年々増加傾向にあるとともに、東京や神奈川、大阪などの大都市部に限って見ると、この比率はさらに高いものとなります。

つまり、住生活の場としてのマンションの重要性は年々高まっていると言え、また、90%近いマンション管理組合が、その管理業務をマンション管理会社に委ねている(全部委託および部分委託)現状を鑑みると、マンション管理会社も一定の資格要件を満たした業者に限定する必要性が生じます。

こういった諸事情を背景として、マンション管理適正化法のもと、マンション管理業者の登録制度が設けられました。

マンション管理業を営もうとする場合は、国土交通大臣に届出を行い、マンション管理業者登録簿という帳簿に登録を受けなければならなくなったのです。

マンション管理組合と管理会社とのトラブル

こういった登録制度が設けられた背景には、マンション管理組合と管理会社とのトラブルが多発した(している)ことがあります。

そのトラブルの主だったものとしては、修繕積立金など管理組合の財産の管理にまつわるトラブル、管理委託契約の内容の説明不足によるトラブル、管理委託契約書や重要事項説明書など書面交付に関するトラブルなどが挙げられます。

特に重要な管理組合の財産の管理に関する対応としては、マンション管理業に関する所管官庁である国土交通省はこれまでの管理組合の財産管理方法の見直しを行い、より厳格にこれを管理していく方式に改めました。

修繕積立金など管理組合の財産管理の方式については別の機会に改めて説明を行いますので、今回は詳細については触れませんが、管理組合の代表者である理事長の印鑑と通帳の保管管理体制、また通帳に記載されている預金口座の名義人(管理組合or管理会社)といったところがポイントとなってきますので、適正な財産管理のために、これらが法律に基づいてキチンと分別管理されているか確認をしておくと良いでしょう。

マンション管理業者の業務規制の概要

  1. 管理業務主任者の設置
    管理業務主任者の国家試験に合格した者で、管理事務に関し一定の期間以上の実務経験を有するものは、国土交通大臣の登録を受けて、管理業務主任者証の交付を受けることができます。
  2. 標識の掲示
    マンション管理業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に国土交通省で定める標識を掲げなければなりません。
  3. 重要事項説明と書面交付
    管理組合と管理事務の委託に関する契約の締結および更新をしようとする時は、予め管理業務主任者が、管理等に対して、管理委託契約の内容等の重要事項の説明を行わなければなりません。

    • 従前と異なる内容の委託契約を締結しようとする場合
      契約を締結する前に、予め説明会を開催し、区分所有者等および当該管理組合の管理者等に対して、重要事項の説明を行うことになります。その説明会の日の一週間前までに、区分所有者全員および管理者に対して、重要事項および説明会の案内(日時・場所等を記載)の書面を交付することとなります。
    • 従前と同一の内容の委託契約を締結しようとする場合
      契約を締結する前に、予め管理者等に対して、重要事項の説明および書面の交付を行うとともに、区分所有者等全員に重要事項の書面を交付することとなります。
  4. 契約成立時の書面の交付
    管理組合から管理事務の委託を受けることを内容とする契約を締結した時は、当該管理組合の管理者等に対し、遅滞なく、管理業務主任者の記名押印のある一定の事項を記載した書面を交付しなければなりません。
  5. 再委託の制限
    管理組合から委託を受けた管理事務のうち基幹事務については、一括して他人に委託することができません。
  6. 財産の分別管理
    管理組合の修繕積立金等の財産については、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければなりません。
  7. 管理事務の報告
    定期に、マンションの管理者等に対し、管理業務主任者をして、管理事務に関する報告をしなければなりません。
  8. 書類の閲覧
    マンション管理業者の業務及び財産の状況を記載した書類をその事務所ごとに備え置き、その業務に係る関係者の求めに応じ、閲覧させなければなりません。
  9. 秘密保持義務
    マンション管理業者及びその使用人その他の従業員は、業務に関して知り得た秘密を漏らしてはなりません。
  10. 監督処分
    マンション管理業者は、上記の業務に違反すると、国土交通大臣から業務停止命令、登録の取消し等の処分を受けることとなります。

マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準について

マンション管理業者は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律はもとより、業務に関連するその他の法令等の規定を遵守することが求められていますが、こうした法令等の規定が遵守されず、業務の適正な運営等が確保されない場合に備え、国土交通省では、監督処分の一層の透明性の向上を図るとともに、違反行為等の抑止を図る観点から、マンションの管理の適正化の推進に関する法律の規定に違反した場合について監督処分の規定が設けられています。

マンション管理業者の違反行為に対する監督処分の基準について[国土交通省]

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