分譲マンションでは、輪番票(順番)や抽選で役員(理事)になることが多いでしょう。もちろん、ふさわしい方の立候補や、推薦で決まるのがマンションにとっては、望ましいとは思いますが、中々そういうわけにもいきません。「次期役員候補だと管理会社にいわれたが、仕事の都合で役員になれない。身体の具合が悪くて役員がつとまらない。そもそもやりたくない。」こんなセリフをマンション管理の現場にいるとよく聞きます。

そんなにマンションの役員ってキツイのでしょうか

マンション理事はキツイ

マンションは、一戸建てとちがい、年齢や性別、価値観等のまったく違う住人が暮らしています。だからどんな素晴らしいマンションでもトラブルは必ず起こるし、理事会に対してクレームがつくこともあります。毎月、休日に行われる理事会も負担でしょう。せっかくの休日に、せまい管理室に集合して、居住者間の騒音問題など、解決するのに特効薬がないことを議論するのは、決して楽しいものではありません。

一方で、理事になると、良い面も当然あります。定例の理事会で自分たちの暮らすマンションのルールやマナーを好むと好まざるとにかかわらず再確認します。毎月支払っている管理費等がどの様に使われて、管理会社はどんな仕事をしているのか。そして、マンションの設備等も理解することによって、マンションに対して一層の興味や愛着がうまれてきます。

何よりマンション内のトラブルや問題を解決するのに、他の役員のみなさんと協力し合うことで、今までは、顔はみたことだけで、名前や素性をもわからなかった方々と知り合いになって、マンション内に頼りになる仲間ができることも多くあります。

実際に、これまで理事の皆さんが、理事会では充実した議論をおこない、理事会終了後には、そのままみんなで、近所のファミレスにランチに行くように、それまで顔も知らなかった住人同士が、理事を務めたことで交流を深めたマンションを数多くみてきました。

ですから、役員候補に選ばれたら、端からつまらないものだと思わないで、おもいきって、役員を引き受けてはいかがでしょうか。意外と、理事を満喫して、マンション管理にハマる方もいるものです。理事として任期のあいだマンションの運営に今までより少しだけふかく携わってみてはいかがでしょうか。

参考:マンションの理事経験についてアンケート結果(八重洲マンション管理士事務所)

子どもを通した知り合い以外とは、なかなか交流する機会がなかったので、同じマンションの中に知り合いが増えたのが、よかったです。少しでも住みよいマンションにしたいという思いは共通で、皆さん前向きな方ばかりでした。順番に全員が理事になるという方法は、住民の意識を高めるためにも、いい方法だと再認識しました。

特にありませんが、普段あまり話さない人達と一緒に理事をしたので以前より交流出来るようになった点が良かったと言えます。規模の小さいマンションですが、せっかく同じ建物に住んでいるわけですからもっと交流をしてもいいと思えるようになりました。また中には私が住むずっと以前から住んでいる人もいて、昔の出来事や背景が知れたのも良かった点です。

マンションの役員になったらまずはこれからはじめよう!

マンションの価値をあげる

それでは、理事になったらまず何からはじめればよいのでしょうか?

まずは次のことからはじめてみてください。

  1. 他の理事の方との連絡方法を確認しよう
    理事同士が連絡できなければ、何かマンションでトラブルが起こったときに迅速に対応することはできません。メールや電話番号等を記載した役員名簿を作成しましょう。ただし、個人情報を提供するのを嫌がる方に無理強いするのは望ましくありません。
  2. 自分たちの暮らすマンションを隅々まで見てまわる
    意外と、自分たちのマンションのことを知らないことに驚くはずです。管理会社や管理人さんにお願いして、(安全を確認した上で)屋上にあがるなど、マンション内を巡回してみると、今までとは違ったマンションの部分がみえてきます。
  3. 管理規約や使用細則を読みなおしてください
    マンションのルールである「管理規約」や「使用細則」をあなた自身は守っていますか?
    共同生活にはルールがあります。マンションで暮らす方、全員がしっかりと理解することが大切です。もし理事が管理規約を読んだことがなければ、総会での質疑で恥ずかしい思いをするかも知れません。
  4. 管理会社との決め事「管理委託契約書」を読もう
    一般的な分譲マンションでは、業務のほとんどを管理会社に委託しています。管理会社が行なっている業務の内容を正確に把握することが、自分たちのマンションのことを理解するはじめの一歩です。

マンションの理事のしごとは、多岐にわたります。居住者からのクレーム対応や突然の設備の故障など。でも、それほど心配することはありません。管理会社に業務を委託しているマンションであれば管理会社の担当者(フロント)がサポートしてくれますし、日常的なことは、管理人さんが心強い味方です。そして、いざとなれば私たちのような、外部の専門家(マンション管理士)などの助けを求めることだってできるのですから。

マンションの特徴である専有部分と共用部分を理解することが重要です

一戸建てとは違い、分譲マンションは、マンション内の複数の住戸に所有権が認められています。このような所有権の仕組みを「区分所有権」といい、区分所有権を持っている人を「区分所有者」と呼んでいます。分譲マンションを購入すると、住戸(専有部分)を目的とする「区分所有権」と、その敷地である「敷地利用権」を同時に取得することになります。一方で、共用廊下、エレベーター、建物の基礎、壁などは区分所有者全員の共有となります。

  1. 【専有部分】・・・各住戸
  2. 【共用部分】・・・共用廊下、エレベーター、建物の基礎、壁など

以上のように、マンションは、専有部分と共用部分の2つの部位に分かれているのが特徴です。

マンション管理のトラブルは「専有部」「共用部」の境界部分で起こる

マンション管理でトラブルの要因として、「専有部分」と「共用部分」の区分けが難しいことがあげられます。エアコンを設置するときに、外壁に穴を開けられない理由は、その壁が共用部分だからと理解するのは比較的簡単でしょう。一方で、部屋の床下で漏水事故が起きたときの復旧のための費用負担は、お部屋の持ち主である区分所有者なのか、それとも管理組合で負担すべきものなのかは、判断がむずかしいでしょう。

もちろん専有部分だからといって、区分所有者がなんでも好きなようにできるわけではありません。例えば夜中にピアノの練習をすることは、マンションの管理規約等で許されていないはずです。マンションでのトラブルの根本には、専有部分と共用部分の区分けが難しいということと、専有部分だからといって、なんでも自由にできるわけではないということを、一部の居住者が理解できていないことがあげられます。

トラブルを未然に防ぐためには、管理規約に責任の区分けを記載

区分所有法では、「専有部分」と「共用部分」の境を明確に定めているわけではありません。ですから「管理規約」や「使用細則」に構造上の「共用部分」「専有部分」等の区分けをはっきりと記載することが必要となります。この「共用部分」と「専有部分」の区分けはマンションの構造などにもかかわることですので、簡単にはできません。

仮に管理規約に明確に記載されていない場合には、管理会社やマンション管理士と協力して、早急に管理規約の見直しをおこないましょう。

マンションの管理規約と区分所有法という法律

規約はルールブック

マンションの基本的ルールは、マンションの憲法といわれる区分所有法に定められています。マンション(区分所有建物)は、ー戸建て住宅とは異なり、分譲マンションの場合は、部屋番号をつけられた各住戸は、自分のものですがエレベーターや共用廊下などは特定の人のものではありません。これらは原則としてマンションを買った住人全員の共有となります。一つの建物を複数の住人が共同で利用する住まい方であり、権利関係が複雑になります。

そこで、マンションでの住まい方や管理・運営方法のルールを定めた法律として、建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)が1962年に施行されました。マンションにおける憲法とも言われる重要な法律である区分所有法ですが、区分所有法だけで、マンション各々の事情などを配慮して、一律に定めることは困難です。そこで、区分所有法では、マンションが個別に独自のルールを定めることができるとしています。これを管理規約や使用細則と呼んでいます。

マンションの管理規約は、マンションのルールブックに相当します。管理規約のの設定は任意であり、必ず設定する決まりはありませんが、実務上は、当然多くのマンション管理組合では、管理規約が設けられています。マンションの管理規約は、マンションの所有者(区分所有者)だけではなく、賃貸で暮らす方を含めた、分譲マンションに生活するすべての者が守るべきルールブックです。

当然ながら、所有者だけではなく、同居している家族や、賃借人も、このルールブックである管理規約等を理解し、共用部分や専有部分の利用方法を守る義務があります。自分のマンションの管理規約を読んだことがないという方は多くいますが、マンションに暮らす以上、必ず読んでおく必要があります。もし、管理規約を持っていないという方がいたら、管理会社等に問い合わせをして入手しましょう。

管理会社任せにしていませんか?マンション管理を行なうのは管理組合

マンションを購入すると自動的に管理組合員になります。自治会などとは違って、嫌だからといって自由に退会することはできません。マンションを購入したけれど、理事をやりたくないから管理組合には入りたくない!なんてことはできません。また、そのマンションに住んでいるは関係ありません。マンションを購入した時点で自動で管理組合員になり、マンションを売却、相続するなどして、マンションのお部屋を手放した時点で、管理組合から自動的に退会となります。

マンションの管理組合は、区分所有者全員が当然メンバーとなり、共同でマンションの維持管理を行うための組織です。マンションの維持管理は、この管理組合で行わなければなりません。しかしながら、実際には、管理の実務を管理会社に任せていることもあって、ほとんどの区分所有者は、自分達がマンション管理をおこなっているという自覚が残念ながらありません。マンションを維持管理する上で、最も大切なことは、自分たちが管理の主体であるという意識をもつことです。

例えば、総会を開催するのも、多くの場合、管理会社が総会資料をつくり、配布までおこなっています。それは、あくまでも忙しい理事の仕事を管理会社が代行しているのであって、少なくとも管理会社がつくった総会議案書(案)の内容をしっかりと確認して意見するぐらいは、理事が当然おこなうべきことです。

マンションの重要なことは、総会の決議でおこなうことが基本

分譲マンションでは、マンションの運営に関する重要な事項は、総会(集会)の決議によって決められます。総会は、区分所有者全員が議決権を持ち、多数決で管理組合の意思決定をする場です。マンションの憲法である区分所有法では、「集会(総会)を、管理組合の中心的、かつ、最高の意思決定機関」として位置付けています。

しかし、残念なことに多くのマンションでは、総会の出席率が低いのが実情です。マンションの運営は、できるだけ多くの区分所有者の意見を聞き、そして、その意見を反映することにより成り立ちます。そのためには、総会の出席率を少しでもあげるための努力が必要です。日程に余裕をもった、総会資料の配布や、掲示板を活用するなどして、総会の出席率を少しでも高めるための工夫をして、できだけ多くの方に総会に参加していただき、意向を引き出すことが重要です。

管理組合の仕事は複雑なのでマンション管理士などの専門家に協力を求める

管理組合の仕事は、よほど規模の小さいマンション以外では、区分所有者全員によって行うことは不可能ですし、あまり多くのかたが実務に携わっても混乱してしまいます。そこで、理事会が区分所有者の代表として管理組合の運営をおこないます。ただし、専門的な実務は、マンション管理会社に委託していることがほとんどです。一部では、区分所有者自らがすべての管理業務をおこなう自主管理マンションもありますが、高齢化などの理事のなり手不足もあり減少傾向です。

マンション管理業務の基本事項

  • 【ソフト面】マンション内でのトラブルの解決や未然防止
    マンション内でルールが守られなかったり、ルールに不足があるなどして、トラブルが発生することがあります。例えば、ペットの飼育や騒音の問題が発生しないように規約や使用細則などでルールをつくると共に、マンションの住人にルールを守るように啓蒙をおこないます。
  • 【ハード面】マンション建物の維持管理をおこなう
    マンション内の清掃や点検、設備などの修理の他、定期的におこなう大規模修繕工事の際には、必要に応じて、大規模修繕委員会を立ち上げ、専門業者と協力して、マンションの維持管理をおこないます。
  • 【お金の管理】マンション運営に大切なお金をまもる
    マンション管理に必要不可欠なお金は、区分所有者全員から、管理費や修繕積立金として、毎月集めます。そこから必要な諸費用を支払いますが、その大切なお金を安全で確実に管理します。また、定期的に実施する大規模修繕工事に備え、長期修繕計画(長計)をつくり、その計画に基づいて修繕積立金の額を設定し徴収します。

自分たちで手におえないことは専門家に依頼する

マンション管理士の活用

分譲マンションの多くは、運営管理の実務のほとんどを管理会社に委託します。業務を受託した管理会社は管理組合と締結する「管理委託契約書」にもとづいて管理組合にかわって、維持管理をおこないます。管理組合からすれば、もっとも身近にいて、頼りにすべき管理会社ですが、管理会社では対応できないさらに専門的な問題も数多くあります。また、管理会社の対応に不信感もつこともあるでしょう。すべてを管理会社任せにせずに、管理組合は「マンション管理士」等の外部の専門家の知識や経験をうまく活用しながら、時には主体性をもって対応することが、より良いマンションの運営には必要なことです。

マンション管理のコンサルタントであるマンション管理士の仕事とは

マンション管理士

マンション管理士の最も基本的な業務は、総会や理事会に出席し、マンション管理の経験や知識の乏しい管理組合員に対して、助言やアドバイスをおこなうことです。また、マンションが抱えているトラブルやクレーム等に対しても強力なサポーターです。例えば「理事会の運営に関する不満」「生活音やペット飼育等のマナーをめぐる対立」、「漏水や劣化などの建物の不具合」などすでに起こった問題に関する支援も業務としています。

築年数が古くなれば増え、設備に関するトラブルや、空き家、高齢化の問題などが露呈します。新しいマンションでは、居住者間のマナーに関するトラブルや、価値観の違いによるクレーム等が発生しがちです。こうした、複雑なマンション管理の現場では、マンション管理士のような中立公正な立場で客観的に判断できる専門家が必要とされることがあります。例えば「定期清掃を毎月実施」が適切かどうか判断する場合には、契約の当事者である管理会社よりも、第三者の立場であるマンション管理士の方が管理会社よりも適切なアドバイスができるのではないでしょうか。

このように、マンション管理士という第三者の専門家をうまく活用することで、よりよいマンション管理を実現することができるのではないでしょうか。

マンション管理士とは― マンション管理適正化法第2条 ―

国土交通大臣の登録を受け、マンション管理士の名称を用いて、専門的知識をもって、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とする者をいう。

顧問契約サービス

管理組合顧問
管理組合の理事になったら、マンション管理士に顧問契約を依頼してはいかがでしょうか。マンション管理士が理事会や総会に出席し、第三者の立場で、助言をおこないます。理事の労力を削減するとともに、マンションの無駄なコストや、管理会社の業務の適正化につながります。