マンションの駐車場設備にはいくつか種類がありますが、駐車場設備の維持管理には思いのほか費用負担を大きいことや、空き区画の増加などにより管理組合の財務を圧迫することが問題になっています。空き区画対策として、マンション以外に貸し出す外部貸しなどをおこなうマンションも増えてきました。マンションの駐車場で忘れてはいけないのが、特に機械式立体駐車場での事故の危険性です。実際に多くのマンションで痛ましい事故がおこり、マンションでもっとも事故の危険性が高いのが機械式駐車場です。駐車場設備ごとに危険な箇所や注意すべき点が異なりますので、すべてはここで触れることはできませんが、マンション管理組合や理事会では、自分たちで行える取り組みについて改めて考え直し、それぞれ連携・協力して安全対策に取り組むことが必要です。また、駐車場保守点検業者やマンション管理会社の担当者・マンション管理士は担当するマンションで機械式駐車場の危険性について啓蒙するとともに、その対策について提案する必要があるでしょう。

マンション総合調査によると、駐車場のあるマンションが91.8%

平成25年度マンション総合調査によると、駐車場のあるマンションが全体の『91.8%』、ないマンションが全体の『4.9%』で、分譲マンションのほとんどで駐車場設備を保有しています。分譲マンションの魅力のひとつに駐車場が自宅内にあるということもあげられるでしょう。駐車場の種類別では「平面式」『80.3%』がもっとも多く、つぎに「機械式」『32.2%』、「立体自走式」『5.7%』となっています。利用者の使い勝手の面では平面式駐車場が機械操作の不便もないことから魅力がありますが、都心部など地価の高い地域では、機械式駐車場も多くみられます。


マンションの住宅部分の駐車場の有無及び種類別の設置状況についての調査では、駐車場のあるマンションが全体の『91.8%』、ないマンションが全体の『4.9%』です。


駐車場の種類別では、「平面式」『80.3%』、「機械式」『32.2%』、「立体自走式」『5.7%』となっています。

マンションの駐車場設備(1)平面式駐車場

一番オーソドックスでシンプルな駐車場の利用形態が平面式(平置き)駐車場と呼ばれるものです。敷地の空きスペースなどを利用して、白線を引いて区画を設け、その区画ごとに駐車します。機械式駐車場設備が充分に普及していなかった古いマンションに多い形態ですが、広い敷地を必要としますので、地方都市のマンションや郊外の大型マンションなどでよく利用されている形態です。

マンションの駐車場設備(2)機械式駐車場

狭い空間を有効利用することを目的として、ここ十数年くらいの間に普及してきた形態です。2段パレット、3段パレットといったようにパレット(車が乗る台のことで、ちょうど料理をのせるお皿と同じ役割を果たしているものです)が、機械操作により、上下あるいは左右に移動することにより、車の出し入れを行う形態を指します。操作盤を利用してご自分の車の入っているパレットを呼び出して、車の出し入れを行いますので、車を実際に入出庫させるまでに数十秒から数分の時間を必要とすることから、利用者から不満がでるケースも多いようです。

マンションの駐車場設備(3)立体駐車場

別名タワーパーキングなどとも呼ばれる駐車場で、文字通りタワーのようにそびえ立つ駐車場に車が立体的に収納されています。操作盤にカードを出し入れするなどして、特定のパレットを呼び寄せて、車を入出庫させるのが一般的な形式です。狭い敷地であっても効率的に多くの車を収納できますが、機械式駐車場と同じように特定のパレットを呼び出すのに、数分時間がかかりますので、夏の暑い期間や冬の寒い期間は利用者の方からすると時間がかかり、面倒と言った声を耳にすることもあります。

マンションの駐車場設備(4)立体自走式駐車場

平置駐車場をさらに有効活用し、2層3段、3層4段というようにフラットな駐車場と車が上下階に出入りするスロープなどを組み合わせた駐車場の形態です。平置駐車場と同じように平面区画に駐車ができますが、より多くの台数の車を収納することが可能で、また機械式駐車場や立体駐車場に比べて設備のメンテナンス費用が大幅に安くなるという特徴があります。ただ、設置状況によっては、マンションの住戸の日照に影響を与えたり、また、マンション全体の景観に影響を与えるほど、存在感の大きな設備となりますので、特に後付けでこの設備を導入する場合は慎重に検討を行うことが大切です。

マンションの駐車場設備の維持管理は、意外と費用がかかる

これまで、マンションで利用されている主だった駐車場設備について、その種類と特徴の概略を見てきましたが、利用者サイドで見ると、ご自身のマンションでどんな駐車場設備が設置されていても、あまり気にならないかもしれません。しかし、駐車場設備の維持管理という点に焦点を当てると、これらの形態の違いにより、維持メンテナンスにかかるコストというものが大きく異なってきます。

まず、立体駐車場の整備については法的な制限が有りません。ですが安全を確保するために専門業者に依頼して定期的なチェックや保守は欠かせません。エレベーター保守会社と同様に機械式駐車場でも製造したメーカー系と、基本的にどのメーカーの保守も引き受ける独立系保守業者にわかれます。

法定点検が義務付けられているわけではありませんので、作業内容については業者から提出される点検報告書を信じるしかないのが実情です。そこで実際にどんな作業をしているのか理事会などで一度は確認してみていはいかがでしょうか。どれくらいの時間、何人でどんな作業をしているのかチェックすることが大切です。あきらかに過剰な点検がおこなわれていたり費用が高額な場合には、独立系の業者を検討しても良いでしょう。

ただしエレベーター保守業界以上に機械式駐車場保守業界はメーカー系保守業者の影響力が強く、独立系保守会社に変更すると、メーカーからの部品調達価格や納期などで嫌がらせを受けたなどのケースも多くありますので、そのあたりのリスクを慎重に検討する必要があります。

保守メンテナンスに関するご質問

Q.保守メンテナンスは法定点検ですか?
A. 法定点検ではありませんが、建築基準法第八条 維持保全に基づき、定期保守をお勧めしています。
建築基準法第8条(維持保全)
建築物の所有者、管理者又は占有者は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
公益社団法人立体駐車場工業会のホームページより

これらの駐車場設備の管理責任はマンションの管理組合にあります。したがって、これらの設備の維持費は各区分所有者が管理組合に対して支払った管理費をはじめとした諸費用の中から捻出されることになります。これらの費用は、ご自身の住戸のみ、また単年度のみで考えていくと大した金額と映らないかもしれませんが、管理組合全体、また20年、30年といった大きな視点でこの金額を俯瞰すると、膨大な金額になりますので、決して見落としてはならない大きなコスト負担となります。

マンションの駐車場設備が管理組合の会計を圧迫!?

駐車場が平面式駐車場の場合は、区画の白線を引き直したり、アスファルトを整備し直すくらいで、大して維持・管理費は必要ありません。しかし、平面式駐車場はマンションの戸数にもよりますが、一般に、かなり広い敷地を必要としますので、機械式駐車場などが開発される前の古いマンションでは多かったのですが、最近はあまり供給されなくなってきています。これに代わって、ここ10数年くらいの間で一気に主流となってきたのが、機械式駐車場設備やタワーパーキングと言われる立体駐車場設備です。狭い敷地の中でも効率良く敷地内の空間を利用できますので、好んで設置されるようになってきました。

しかし、これらの機械式駐車場設備は、なにぶん維持や管理に莫大なお金がかかります。新築マンション購入時は、当たり前のことですが、これらの設備も新しいですので、特段ランニングコストを気にすることもないでしょう。しかし、これが10年、15年と月日が経過するにつれて、次第に目に見えて、管理組合の会計を圧迫するようになってきます。マンションの住人からすれば「聞いてないよ~」と泣きたくなるくらい、ランニングコストがかかってくるのが一般的です。

駐車場設備のランニングコスト対策

このように、経年とともに次第にジワジワと管理組合の会計を圧迫してくることが予測される駐車場設備に対しては、有効な対応策を予め考えておくことが大切です。具体的には、長期修繕計画というマンションの資金計画を早期に見直し、駐車場設備の維持・管理のために必要な修繕積立金の金額設定を行い、あるいは駐車場使用料の見直しをおこない、これに備える作業を行うようにしましょう。

また、年月の経過とともに、世帯の家族構成なども変化していきますので、次第に車を使用する必要性が薄れてきて、駐車場に「空き」区画が多くなるケースも出てくるかもしれません。こういった場合、必要な駐車場使用料収入が管理組合に入ってこないことになりますので、さらに管理組合の会計を圧迫する事態となりかねません。

こういう事態を放ったらかしにせず、空き駐車場区画が出た場合は、直ちに空き募集を行い、それでも利用者が大幅に減少してきたときは、機械式駐車場設備を取り壊すなどの対応も検討していく必要があるでしょう。

空き駐車場対策の切り札となるか!?「マンション駐車場の外部貸し」

マンションの空き駐車場区画をマンション外の方に「外部貸し」を行った場合、これが課税対象となるのかどうか?
国税庁は、平成24年2月13日付で「マンション管理組合が区分所有者以外の者へのマンション駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について」をホームページに公開し、収益事業に該当する場合、収益事業に該当しない場合の例示を行いました。

概略を説明すると⑴マンションの居住者などと外部利用者が分け隔てなく、これを利用する場合は全て課税対象、⑵両者を識別して、特定の条件のもと、居住者などに優先利用権を与える場合は外部利用者のみ課税対象、⑶工事などで1か月といった短期間、これを臨時に利用する場合などは課税対象外とされました。

これは新聞紙上などでも注目を集めた事案でしたのでで、マンションの空き駐車場の活用方法として、駐車場の外部貸しは一般的になってきました。

マンション駐車場のサブリース会社「マンション駐車場の外部貸し」

先ほど説明したように、マンションの駐車場収入は、居住者が使用する分については、税金は発生しません。一方で、マンションの駐車場を外部の方に貸し出した場合には、マンション管理組合にも納税義務が生じることが明らかになりました。外部に駐車場を貸し出しをすると、その分は収益事業とみなされ法人税が課税されます。

こういった税金に関することはマンション管理会社ではなく、税理士等の税務のプロに相談にのっていただく必要があり、また管理組合が直接、駐車場の募集をするのも簡単ではありません。

こういった事情から、マンションの駐車場を管理組合から一括契約で借上げた上で、近隣の住人に貸し出しをおこなう、マンション駐車場のサブリース会社がでてきました。

マンション駐車場の空き区画を外部貸しする場合には、理事の負担を軽減するためにも、こういったサブリース会社のサービス導入を検討しても良いでしょう。

機械式立体駐車場の安全対策は今すぐ見なおそう

平成26年10月に改定された械式立体駐車場の安全対策に関するガイドラインによると「 機械式立体駐車場における一般利用者等の死亡・重傷事故は、平成19年度以降、少なくとも26件発生しており、児童が亡くなる痛ましい事故も発生」しています。

■多段式駐車装置の正しい利用方法及び事故事例/公益社団法人 立体駐車場工業会

機械式立体駐車場については、その設備ごとに危険な箇所や注意すべき点が異なり、製造者、保守点検業者、管理会社、管理組合、利用者等は、それぞれ連携・協力して安全対策に取り組むことが必要です。マンションでの痛ましい事故を防ぐためにも、マンション管理組合や理事会では、自分たちで行える取り組みについて改めて考え直すことが大切です。そして、マンション管理会社の担当者やマンション管理士は、マンションでの機械式駐車場の危険性について、マンションの住人に対して啓蒙をおこないアドバイスや改善策の提案をおこなうことが大切なことだと考えています。

マンションの機械式駐車場の危険性についての関連サイト

公益社団法人立体駐車場工業会のホームページ
機械式駐車場を安全にご使用いただくためのパンフレットをダウンロードできます。
マンション管理業協会のホームページ
機械式立体駐車場の安全対策についての取材レポートがご覧いただけます。

八重洲マンション管理士事務所

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