機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン改定版 平成26年10月 国土交通省
・ 機械式立体駐車場における一般利用者等の死亡・重傷事故は、平成19年度以降、少なくとも26件発生しており、児童が亡くなる痛ましい事故も発生。
・ 国土交通省では、これまで機械式立体駐車場の適正利用の周知や安全対策の強化の呼びかけ等を行ってきたところであるが、機械式立体駐車場の安全性の一層の向上を図るため、平成25年11月、「機械式立体駐車場の安全対策検討委員会」(座長:向殿政男・明治大学名誉教授)を設置し、計4回にわたって検討を行った。
・ 委員会では、特に重大事故の発生を抑止する観点から、機械式立体駐車場の特性や実際の事故等の発生状況を踏まえた検討を行った。
・ 本ガイドラインは、委員会の検討成果を踏まえて、機械式立体駐車場に関わる製造者、設置者、管理者、利用者が先ず早期に取り組むべき事項をガイドラインとしてとりまとめたもの。本ガイドラインを広く活用し、機械式立体駐車場の安全確保と安全利用に努めて頂きたい。

Ⅰ.総則

1.本ガイドラインの位置づけ

・ 機械式立体駐車場において発生した重大事故等の再発防止の観点から、関係主体において早期に取り組むべき安全対策を提示するもの。
・ 駐車場法の対象となる路外駐車場に設置される機械式駐車装置について、本ガイドラインへの準拠を要請。
・ ただし、近年、マンション等の専用駐車施設において事故が多く発生していることに鑑み、路外駐車場以外に設置される機械式駐車装置についても、本ガイドラインへの準拠を推奨。
・ 引き続き、本ガイドラインの改善を進め、適宜発出予定。

2.機械式駐車装置の特性・危険性

・ 二段・多段方式、垂直循環方式、エレベータ方式等、様々な種類のものが存在。
・ 時間貸し駐車場、商業施設等の公共用駐車場のほか、マンション等の専用駐車施設にも普及。
・ 乗降室内への閉じ込め、稼動部への接触、巻き込み、挟まれ事故のほか、乗降・歩行時の転倒・転落、車両の入出庫時の衝突も発生。
・ 特にマンション等の専用駐車施設において、利用者が自ら操作する際、乗降室内に人がいることの確認が不足していたことなどを要因とする重大事故が多く発生。

3.安全対策の考え方

・ 機械式立体駐車場は、都市施設として不可欠な施設であるものの、ひとたび事故が発生すれば、重大事故に至る危険性が高い機械装置であること、そして機械には「絶対安全」はないということも認識した上で、製造者、設置者、管理者、利用者の各主体がそれぞれ真摯に協力して安全確保と安全利用に取り組むことが重要(多重安全)。

Ⅱ.製造者の取組

(全ての装置に共通する事項)
・ 装置内に、利用者以外の人が容易に立ち入ることができない構造とすること。
・ 設置者又は管理者において、操作を行う者の限定を行うことができる機能を有すること。
・ 前の利用者の一連の操作が正常に完了しない限り、次の利用者が操作を行うことができない機能を有すること。
・ 操作盤は、利用者が安全確認ボタンを操作した後でなければ装置が稼動しない機能を有すること。
・ 操作盤の視認しやすい場所に、視認しやすい形状で、緊急時に直ちに装置の動作を停止できる緊急停止ボタンを設けること。
・ 乗降室内には、人が転落するような隙間を設けないこと。やむを得ず隙間を生じる場合には、人の転落を防止するための適切な柵、落下防護施設等を設けること。
・ 人の通路部には障害を設けず、平滑な構造とすること。やむを得ず段差等を生じる場合には、視認性の確保に留意すること。
・ 安全対策を講じる際には、消防法、建築基準法等の関係法令を遵守するとともに、製造時点における科学技術の水準を考慮すること。
・ 装置の製造段階でやむを得ず残留する危険性及び適正な使用方法について、当該装置を使用する者に対して十分な説明、注意喚起等を行うこと。

(二段・多段方式の装置に関する事項)
・ 昇降横行式又は地下構造を有する装置には、前面ゲート及び柵を設置すること。
・ 前面ゲートは、チェーン・スプロケット等の稼動部に子供が容易に触れることのない構造とすること。
・ 装置の稼動状況等を目視によって確認できる位置に操作盤を設置すること。
・ 前面ゲートを有する装置については、呼び出した搬器等が着床していなければゲートが開かない機能(インターロック)を有すること。

(垂直循環方式、エレベータ方式等の大型装置に関する事項)
・ 乗降室内に人が入っている状態で、装置が稼動しない機能を有すること。
・ 利用者が操作位置からも乗降室内の安全を確認できるモニター等を設置すること。
・ 出入口扉は、呼び出した搬器等が着床していなければ開かない機能(インターロック)を有すること。
・ 乗降室内で人が装置の旋回運動に巻き込まれることがないよう退避場所を設けるとともに、視認しやすい非常用脱出口、非常ボタン等を設けること。

Ⅲ.設置者の取組

・ Ⅱ.で要求される構造・設備・機能を有する装置を設置すること。
・ 装置の選定にあたっては、製造者の助言等を参考に、設置場所、気象条件、使用条件、利用者の特性等を考慮した上で最適な種類のものを選定すること。
・ 装置のピット内への人の転落や、装置内への不用意な侵入の防止等のため、装置の出入口及び周囲には、適切な柵等を設けること。
・ 柵等は、装置の稼動部に、隙間から手や足等が届かない構造とすること。
・ 入出庫時に、乗降室内への不要な人の立ち入りを防止するため、乗降室の外部に子供の待機場所、荷物の積み下ろし場所等の確保を図ること。
・ 夜間使用される装置や屋内・地下に設置される装置については、装置内の視認性を確保するため、照明設備を設置すること。
・ 装置の設置段階でやむを得ず残留する危険性及び適正な使用方法について、当該装置を使用する者に対して十分な説明、注意喚起等を行うこと。

Ⅳ.管理者の取組

・ 利用者に対して、正しい操作方法、注意事項の遵守などの書面での説明等を徹底すること。また、これらに関する説明等を受けた者に対して利用を許可すること。
・ 不特定多数の人が利用する駐車施設においては、専任の取扱者が操作をすること。
・ 「無人確認」等の注意事項は、常に利用者が見やすい位置に表示すること。
・ 装置の安全確保のための維持保全を行うこと。装置が正常で安全な状態を維持できるよう、機種、使用頻度等に応じて、1~3ヶ月以内に1度を目安として、専門技術者による点検を受け、必要な措置を講じること。
・ 装置の安全性を阻害する改造等は決して行わないこと。
・ 事故等に備えて対処方法を定めておくこと。また、事故等があった場合には、警察、消防のほか、製造者、メンテナンス業者、設置の届出を行った都道府県知事等にすみやかに連絡し、記録を残すこと。
・ 上記事項を確実に実施するため、管理責任者を選任するとともに、装置の視認しやすい場所に、管理責任者を明示すること。また、具体的な実施方法等について文書に定め、利用者等が閲覧できるようにすること。
・ 上記事項に係る業務をメンテナンス業者へ委託する場合には、当該業務の実施主体(責任者)、具体的な実施方法等について契約等において別途定め、明らかにすること。

Ⅴ.利用者の取組

・ ひとたび事故が生じた場合には重大事故等に繋がることを再認識した上で、利用を行うこと。
・ 他人の鍵等を使用して操作を行わないこと。
・ ボタン押し補助器具等の不適切な器具を決して使用しないこと。
・ センサー等の設備に委ねることなく、装置内に人がいないことの確認を自ら徹底して行うこと。
・ 運転者以外は乗降室の外で乗降すること。やむを得ず幼児等を同乗させたまま入庫する場合には、乗降室から同乗者が退出したことを必ず自ら確認の上、装置を操作すること。
・ 乗降室内に長時間留まらないこと。また、荷物の積み下ろしは乗降室の外で行うこと。
・ 保護責任者は、子供が装置に悪戯に近づかないように細心の注意を払うこと。
・ 取扱説明等を受けていない者に対して、操作を委ねないこと。
・ 酒気を帯びた者は、装置を取り扱わないこと。

Ⅵ.関係主体間の連携・協働による取組

・ 既設の装置について、製造者、保守点検事業者、設置者、管理者、利用者の関係主体は、駐車施設ごとに協議の場を設け、連携・協働して安全対策(施設改修、安全利用の推進、利用者への教育訓練等)に取り組む
こと。
・ 製造者、保守点検事業者は、協議の場において、装置のリスクや安全な利用方法、緊急時の具体的な対処方法等の説明、安全対策の検討に必要な情報・知見の提供を行うこと。これを踏まえ、設置者、管理者は、装
置のリスクや安全な利用方法、緊急時の具体的な対処方法等について、利用者に対する説明の徹底を図るとともに、製造者、保守点検事業者の主体的な参画の下、利用者への教育訓練を実施すること。
・ 利用者は、教育訓練への参加等により装置のリスクを十分認識した上で、適正な利用を心がけること。

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