マンション管理士資格とは2001年施行の「マンション管理適正化法」に基づき創設されました。日本のマンションの良好な住環境を確保するためのマンション管理に関する専門知識を持つ国家資格者の養成が必要と考えたからです。マンション管理は、分譲マンションが完成したところから始まり、日々の積み重ねでマンションの将来がかわります。マンション管理士は、マンション住まいに求められる安全や快適に過ごすための機能性と、資産性を高めるための支援業務をおこないます。顧客(主にマンション管理組合)からの依頼を受け、管理組合の運営や建物の構造や技術的問題等の相談に応じたり、管理コストの削減提案や、管理会社の業務の見直し等を業務としています。

マンション管理士資格の概要

2001年にマンション管理適正化法が施行されたのに伴い「マンション管理士」と「管理業務主任者」というマンションに関する2つの国家資格が新たに創設されました。管理業務主任者資格は、主に管理会社に従事するものを対象としています。一方、マンション管理士は、管理組合の立場にたって管理組合や理事会等の相談に応じて「助言」や「指導」などの援助を行うことを業務とします。簡単にいえば、管理業務主任者は管理会社の資格、マンション管理士は、コンサルタントの資格となります。

マンション管理士が必要とされる背景とは

日本に分譲マンションが登場したのは昭和30年代後半のことです。現在、日本には約620万戸のマンションがあり、1,500万人ほどが暮らしており、これは、おおよそ日本の中で10人に1人がマンションに住んでいることになります。マンション管理士試験の始まった平成13年度以降もマンションは増え続け、中には築30年を超えるマンションも多く、建替えや改修が必要なマンションも増加しています。

また、最近の特徴として、マンションに永住したいという人の割合が増えていることです。平成20年には永住するつもりの方は49.9%でしたが平成25年度の調査では52.4%へと増加しています。マンション居住者の永住意識は高まる傾向にあり、以前はマンションを仮の住まいと考えていたものが、人々の価値観も変化し、一戸建て住宅ではなくマンションを終の棲家にえらぶ人も増えています。

その一方で、マンションの居住者が増えることに比例して、共同生活ならではの様々なトラブルも生じます。一口にマンションでのトラブルといっても、年数や立地(都心か郊外か)、規模の違い、住民のタイプ(単身者が多いかファミリーが多いか)の違い、管理規約の内容の違いなどの条件によってもトラブルの内容は違ってきます。

トラブルや問題がおきた場合には、通常はマンションのルールブックである管理規約をもとに解決を目指すのですが、中には管理規約や使用細則の記載範囲外の事態やトラブルが生じることがあります。こうしたマンション内でおこるトラブルに対応する機関である理事会のメンバーは、一般の区分所有者の中から順番で選ばれ1年毎に交代になることも少なくなく、解決に管理の専門的知識を必要する場合には(たとえば法律や会計、建築設備の問題など)については対処しきれないことも多いでしょう。

運よくマンション管理や法律の知識がある方や建築設備を生業としている方が理事会メンバーに選任されれば、スムースな管理組合運営を期待することもできますが、現実にはこうしたケースは極めてまれです。こうした時に頼りになるのがマンション管理士です。管理に関する問題は正直なところこれで絶対正解という解決策がないからこそ マンション管理士には、個別の状況にも柔軟に対応できる経験や問題解決能力が求められています。マンション管理士は、管理組合や理事会の頼れる顧問役としてマンションごとの個別の事情に沿って的確なアドバイスや支援をおこなう相談役として活躍しています。

資格の概要

マンションの管理の適正化の推進に関する法律(マンション管理適正化法)が施行されたのに伴い、マンション管理士と管理業務主任者という2つのマンションに関する国家資格が新たに創設されました。管理業務主任者が主に管理会社の社員向けの資格であるのに対して、マンション管理士は、管理組合側のコンサルタントとして区分所有者や理事会等の相談に応じて助言や指導などの支援をを行うことを使命としています。マンション管理士を名乗るに年に1回11月頃に試験がおこなわれる国家資格であるマンション管理士試験に合格して登録することが必要です。

マンション管理士の名称独占資格とは何ですか?

医師や弁護士は、資格者でなければその仕事に従事することはできません。一方でマンション管理士資格をもっていなくてもその業務(マンション管理組合向けのコンサルティング)に従事する事はできます。ただし資格者でない者がマンション管理士を名乗る事はできません。これを名称独占資格と呼んでいます。

試験の合格率と難易度

マンション管理士試験は、不動産関連の資格の中では比較的の難易度ランクの高い国家資格として位置づけられています。問題の傾向としては、マンション管理に関わる法律や、設備、管理組合の運営など広範囲の知識を求められるため管理に携わっているものであっても簡単には合格はできないようです。近年の合格率の推移をみると、22年度 8.6%、23年度 9.3%、24年度 9.1%、25年度 8.2%、26年度 8.4%、27年度 8.2%と概ね合格率7~9%代で推移しています。

試験の範囲

マンションの管理に関する法令及び実務に関すること 建物の区分所有等に関する法律、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法、マンションの建替えの円滑化等に関する法律、民法(取引、契約等マンション管理に関するもの)、不動産登記法、マンション標準管理規約、マンション標準管理委託契約書、マンションの管理に関するその他の法律(建築基準法、都市計画法、消防法、住宅の品質確保の促進等に関する法律等) 等
管理組合の運営の円滑化に関すること 管理組合の組織と運営(集会の運営等)、管理組合の業務と役割(役員、理事会の役割等)、管理組合の苦情対応と対策、管理組合の訴訟と判例、管理組合の会計 等
マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること マンションの構造・設備、長期修繕計画、建物・設備の診断、大規模修繕  等
マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること マンションの管理の適正化の推進に関する法律、マンション管理適正化指針  等

マンション管理士の業務とは?

マンション管理適正化法では「マンション管理士とは試験に合格し、登録を受けて、マンション管理士の名称を用いて、専門知識を持って、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、管理組合の管理者等又はマンションの区分所有者等の相談に応じ、助言、指導その他の援助を行うことを業務とするものをいう」と定められています。また、マンション管理士の業務内容に制限はなく、提供するサービスの内容は各々のマンション管理士や所属する事務所毎に差はありますが、マンション管理士が管理組合の顧問となる「顧問業務」は、ほとんどのマンション管理士や事務所で実施しています。

<一般的な業務>

顧問契約業務
マンション管理士と管理組合が契約を締結し、理事会や総会に出席し管理についてのアドバイスをおこなったり、管理会社の業務の確認などを行います。

理事長代行業務
マンション管理士が管理組合員(居住者)にかわり理事長を代行する業務です。管理の専門家であるマンション管理士が管理組合の運営をおこないます。

管理規約改正業務
管理組合のルール変更にともない使用細則を作成したり、管理組合が定める規約や使用細則を時代に相応しい内容や法改正に合わせて規約改正を行います。

管理費委託費見直し業務
管理費からの支出の大部分を占めるマンション管理会社への支払いを削減することを目的として、仕様変更の見直しや管理会社への削減交渉を行います。

マンション管理士をご利用いただく場面

以下のようなご要望やお悩みを抱えたときにマンション管理士に頼るケースが多いようです。

  • 管理組合の収支を改善し管理費の削減を行いたい
  • 管理規約を見なおして、適性な運営を目指したい
  • 管理組合の運営について、第三者の助言を得たい
  • 高齢化や賃貸化が進み、理事のなり手が少ない
  • マンションの管理規約を標準管理規約に合わせたい
  • 管理規約や細則を実態に合うように見直したい
  • 管理費削減のために安価な管理会社に変更したい

マンション管理士はどの程度活用されているのか?

平成25年度マンションの総合調査によると、管理組合が活用したことがある専門家の種類について調査したところ「建築士」が24.4%と最も多く、つぎに「弁護士」が『18.7%』、「マンション管理士」が『16.4%』となっています。マンション管理士の認知度も上がり多くのマンションで活用されるようになってきました。マンションの現場に勤務する管理員さんと間違われることも少なくなってきたようです。

弁護士 建築士 マンション管理士 公認会計士 税理士 司法書士 その他 活用したことがない 不明
18.7% 24.4% 16.4% 1.7% 2.6% 4.6% 4.3% 45.4% 6.5%

※建築士は、大規模修繕工事実施時、弁護士は滞納者への滞納に際して活用されているものと推測します。これらの専門家と並んでマンション管理士も管理組合に活用されるようになってきました。

活用方法

平成25年度マンション総合調査によるとマンション管理士の活用方法は、必要に応じ個々に相談が『54.2%』 と最も多く、つぎに管理組合の顧問が『20.9%』 となっています。多くのマンションでは、トラブルや問題が起きた場合に、マンション管理士に援助を依頼しています。マンション管理士の立場からすれば、問題がこじれてからだと解決に時間が掛かるケースが多いので顧問契約などで長期的に支援をさせていただきたいと考えています。まだ多くはありませんが一部のマンションでは、管理者方式としてマンション管理士が理事長として就任するケースもみられます。

管理組合の顧問 管理者(理事長) 理事 必要に応じ個々に相談 その他 不明
20.9% 2.4% 2.1% 54.2% 14.9% 5.5%

マンション管理組合の専門家の活用<マンション管理標準指針より>

マンション管理標準指針においても「管理組合の運営その他マンションの管理に関して、専門家に対し、常時相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる状況である。」ことが望ましこととして定義されています。
そして、必要に応じてマンション管理士に支援をうけるのが標準的とされており、専門委員会を設置した場合において、区分所有者の中に専門的知識を有する方がいて、専門委員となっている場合は別ですが、そうでない場合は、法律、建築等に係る技術、管理組合の運営に関する知識等を有する外部の専門家の支援を受けることが必要となることも想定されることから「専門委員会における検討に際し、必要に応じて、マンション管理士その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する専門家の支援が受けられる状況である。」とされています。

マンション管理士をいつでも利用できるように規約を変更しておこう

いざ、マンション管理組合でマンション管理士への業務の依頼を検討する場合にはコスト面や、誰に依頼するのかを理事会で慎重に検討することが後々のトラブルを防ぐために大切なことです。また、管理組合でマンション管理士を利用したいとなった場合に速やかに検討できるように標準管理規約を参考に、事前に「専門家を活用できる」という文言がご自身のマンションの管理規約に記載があるか確認をして記載がないようでしたら事前に管理規約の改正を検討しておくとよいでしょう。

【標準管理規約】第6章[管理組合]第34条(専門的知識を有する者の活用)
管理組合は、マンション管理士(適正化法第2条第五号の「マンション管理士」をいう。)その他マンション管理に関する各分野の専門的知識を有する者に対し、管理組合の運営その他マンションの管理に関し、相談したり、助言、指導その他の援助を求めたりすることができる。

将来的なマンション管理士の活用意向

平成25年度マンション総合調査結果によるとこれまで、マンション管理士を活用したことはない管理組合で、今後、マンション管理士の活用するかという質問では「必要に応じ個々に相談」が『46.2%』と約半数近くのマンション管理士の活用を考えており、活用することは考えていない(30.9%)』を超えています。

マンション管理士の求人と就職の実態

マンション管理士は、2万人程度の登録者がいると言われています。資格取得後に、マンション管理士として従事する場合、独立開業、あるいは就職するのか、明確なデータはありませんが、マンション管理士の専業者は、全国で100人程度と推定されています。業務経験を積むために、マンション管理士事務所への就職を検討しても、個人事務所が多くその採用枠はおのずと限れているのが実情です。

したがって、資格所得後、経験を積むことなくマンション管理士として独立開業する方が多いようです。当然ながらマンション管理のコンサルタントは未経験で務まるほど簡単なものではありませんので、管理組合に対して十分な支援はできないでしょう。ですから、現在活躍されているマンション管理士の多くは、管理会社のフロント経験者であるか、建築や設備などの実務経験を有しています。

マンション管理士事務所開業

マンション管理会社とは異なり、法令でマンション管理士事務所の登録などは特に義務付けられていないため、事務所の設立はマンション管理士によって自由に行えます。よってホームページなどでマンション管理士事務所を名乗っていても、専業ではなくどちらかというとボランティアとして事務所を開業するケースも多く、ご自宅を事務所としていることも多いようです。管理組合がマンション管理士に業務を依頼する場合には、マンション管理士事務所としての実績や経歴などを確認して、管理組合の要望にあった事務所を選択することが大切です。一般的には数人のマンション管理士を理事会などにお呼びして、その中から相性の良い方を選ぶことが多いようです。

東京のマンション管理士事務所

実績豊富なマンション管理士事務所
東京、神奈川、千葉、埼玉でマンション管理士をお探しなら、東京駅近くの八重洲マンション管理士事務所をご利用ください。経験豊富なマンション管理士が、管理費削減、顧問契約、管理規約・委託契約見直し等の支援業務により分譲マンション管理組合の運営や理事会の問題解決をサポートします。また、ホームページやセミナーでは、マンション管理に関する各種情報を提供します。ご相談は無料ですのでお気軽にお問い合わせください。マンション管理士は、マンション管理組合運営等にかかわる広範かつ、専門的な業務を総合的にマネージメントする役割を担います。マンション管理のプロフェッショナルであるマンション管理士をご活用ください。